Assistant Professor at Tokyo Institute of Technology

INTERESTS

研究内容

レトロフィット制御に基づく制御系のモジュラデザイン理論の構築

レトロフィット制御とは,多数の主体によって増改築されていく大規模なネットワークシステムに対して,局所的なサブシステムモデルのみを用いたコントローラの設計と実装により大域的なシステム特性や制御性能の改善を目指す,新しい考え方の制御理論である. レトロフィット制御では,従来のロバスト制御とは異なり,注目するサブシステムとのフィードバック系が安定である任意の環境(注目するサブシステム以外の未知なサブシステム群)に対して,注目するサブシステムモデルのみを用いて設計された局所コントローラにより制御系全体の安定性の保証と制御性能の向上を考える. これにより,多数の独立した主体(サブシステム管理者)が制御系の不安定化を危惧することなく,自身が管轄するサブシステムに対して局所コントローラを自由に導入・取替・撤去することが可能となる. これは,分散制御系のモジュラデザインに対する有用なアプローチのひとつとなることを意味する.

これまでの成果として,具体的なコントローラ設計手法の構築に加えて,Youlaパラメトリゼーションをもとに,すべてのレトロフィットコントローラの特徴付けを与えることに成功している. また,複数のレトロフィットコントローラが同時並行的に設計および実装された場合のシステム特性や制御性能の解析を行っている. さらに,局所的に計測可能なデータから未知で可変な環境の近似モデルを同定し,その同定された近似モデルをレトロフィットコントローラに可変なパラメータとして組み込むことによって,さらなる制御性能の向上が図れることを理論的に示している. 同定された近似モデルの安定性や入出力特性に依らずシステムの安定性を常に保証することができるため,オンラインでの未知の環境の同定(学習)などと相性が良い制御手法となっている.

Retrofit Control

  • Takayuki Ishizaki, Tomonori Sadamoto, Jun-ichi Imura, Henrik Sandberg, Karl Henrik Johansson: Retrofit Control: Localization of Controller Design and Implementation. Automatica, 95, pp.336-346, 2018. (DOI: 10.1016/j.automatica.2018.05.033) arXiv Preprint
  • Takayuki Ishizaki, Takahiro Kawaguchi, Hampei Sasahara, Jun-ichi Imura: Retrofit Control with Approximate Environment Modeling. Automatica, in press. arXiv Preprint
  • Takayuki Ishizaki, Hampei Sasahara, Masaki Inoue, Jun-ichi Imura: Modularity-in-Design of Dynamical Network Systems: Retrofit Control Approach. arXiv
再生可能エネルギーを基盤とするスマートグリッドの実現に向けたレトロフィット制御の応用

米国や欧州を中心として電力システムへの太陽光発電や風力発電などの再エネの導入が盛んに進められており,わが国でもその導入量は今後も増加すると見込まれている. しかしながら,再エネの導入量が増加するにつれて,電力システムの系統安定度が低下する傾向にあることが知られており,落雷などをきっかけとして停電などの重大な障害が引き起こされる可能性が高くなる. したがって,系統安定度を向上するための現実的に設計と実装が可能な制御技術の開発は,今後の再エネの大量導入に向けて非常に重要となる.

このような背景のもと,本研究ではレトロフィット制御理論を活用し,再エネが導入された電力システムに対して系統安定度を向上する新たなプラグイン型制御技術を開発した. より具体的には,IEEE68バスシステムと呼ばれる電力システムの標準モデルに風力発電機のモデルを接続し,詳細なシミュレーション実験を行うことにより,このレトロフィット制御に基づくプラグイン型御技術の有効性を示している. また,電気学会から提供されているEAST30機システムに太陽光発電機のモデルを接続しシミュレーション実験を行うことにより,太陽光発電の導入に対しても同様に系統安定度の向上が図れることを示している. その他,需要量や再エネ発電量,送電線パラメータなどの推定に相当する未知の環境の同定を組み込んだ新たなレトロフィット制御手法の構築を目指している.

  • Tomonori Sadamoto, Aranya Chakrabortty, Takayuki Ishizaki, Jun-ichi Imura: Retrofit Control of Wind-Integrated Power Systems, IEEE Transactions on Power Systems, 33(3), pp. 2804-2815, 2018. (DOI: 10.1109/TPWRS.2017.2750411) Preprint JST Press Release   JSTプレスリリース
  • Hampei Sasahara, Takayuki Ishizaki, Tomonori Sadamoto, Taisuke Masuta, Yuzuru Ueda, Hideharu Sugihara, Nobuyuki Yamaguchi, Jun-ichi Imura: Damping Performance Improvement for PV-Integrated Power Grids via Retrofit Control. Control Engineering Practice, 84, pp.92-101, 2019. (DOI: 10.1016/j.conengprac.2018.11.004) Preprint
再生可能エネルギーの不確かさを考慮したロバストな発電機起動停止計画

火力発電機の起動と停止には数時間程度の準備運転などが必要であり,瞬時に電力供給を開始・中断することができない. したがって,変動する電力需要や再エネ発電に合わせて需給バランスを維持するためには,それらの電力を適切に予測した上で,需要変動などに応じてリアルタイムに調整可能な発電機群の起動停止時刻を前日までに計画しておかなければならない. しかしながら,再エネは天候の変化などにより発電量が大きく変動するため,前日に発電量を正確に予測することが難しい. また,再エネの発電量は,従来型の火力発電機のように発電量を電力需要に合わせてリアルタイムに調整することができないことも大きな課題となる. このような背景から,再エネを有効活用しながらも安定した電力供給を実現するためには,発電機や蓄電池を用いたロバストな運用計画手法の開発が必要となっている.

このような背景のもと,本研究では,再エネを有効活用しながらも安定した電力供給を実現する新たなロバスト起動停止計画法を提案している. 具体的には,前日の段階における発電機の起動停止計画に対して,運用当日の各時刻でリアルタイムに調整ができる蓄発電量の範囲も同時に求める新たなロバスト最適化問題を定式化し,その効率的な解法を構築した. 本手法により,当日の運用では,当該時刻における正味電力需要の実測値とバランスをとるように,調整許容範囲内でリアルタイムに蓄発電量を調整するだけで,その時刻以降の不確かな正味電力需要に対しても安定供給を実現する蓄発電運用が可能であることが保証される.

不確かな太陽光発電予測に基づく蓄発電運用計画と最小予備力解析

太陽光発電は温室効果ガスを排出しないクリーンな電源である一方で,天候の変化などの影響で発電量が大きく変動するため,電力系統全体の需給バランスの維持が難しくなる. この需給のアンバランスによる停電などの重大な事故を防ぐためには,太陽光発電量の過不足を蓄電設備により補うことに加えて,気象観測データなどに基づき太陽光発電量の予測を行い,その電力不足の予測に応じて従来型の火力発電設備を効率的に運用することが不可欠となる. しかしながら,太陽光発電予測にはしばしば大きな誤差が伴うため,予測誤差を陽に考慮した新しい電力系統需給制御技術の開発が望まれている.

本研究では,前日の太陽光発電予測に基づいて火力発電機と蓄電池の運用を計画する問題を,蓄発電コストを需給バランスを維持しながら最小化する最適化問題として定式化している. 特に,予測誤差を伴う正味の需要電力予測量は,図中の赤い領域で示されるような信頼度付きの予測区間において変動するパラメータとして表現している. ここで注意すべき点は,図中の青と緑の領域に示されるように,正味需要電力予測量の変動に依存して,最適化問題の解として得られる最適な蓄発電量計画も同時に変動することである. このとき,最適運用計画の上限軌道と下限軌道(青と緑の領域の境界)を求めることは,太陽光発電量の予測誤差を考慮したロバストな需給バランスの実現に向けて,最低限必要な火力発電機や蓄電池の予備力を知るために重要な情報となる. 本研究では,区間解析手法に基づき変動パラメータに関する最適解の単調性を解析することによって,上限軌道と下限軌道の効率的な計算法を提案している.

Interval Analysis

  • Takayuki Ishizaki, Masakazu Koike, Nacim Ramdani, Yuzuru Ueda, Taisuke Masuta, Takashi Oozeki, Tomonori Sadamoto, Jun-ichi Imura: Interval Quadratic Programming for Day-Ahead Dispatch of Uncertain Predicted Demand, Automatica, vol.64, pp.163-173, 2016. (DOI: 10.1016/j.automatica.2015.11.002) Preprint JST Press Release   JSTプレスリリース
  • Masakazu Koike, Takayuki Ishizaki, Nacim Ramdani, Jun-ichi Imura: Optimal Scheduling of Storage Batteries and Thermal Power Plants for Supply-Demand Balance. Control Engineering Practice, 77, pp.213-224, 2018. (DOI: 10.1016/j.conengprac.2018.05.008)
  • Masakazu Koike, Takayuki Ishizaki, Nacim Ramdani, Jun-ichi Imura: Optimal Scheduling of Storage Batteries and Power Generators Based on Interval Prediction of Photovoltaics -Monotonicity Analysis for State of Charge-. IEEE Control Systems Letters (L-CSS), in press.
大規模ネットワークシステムのクラスタ低次元化

近年,ネットワーク科学の分野では,グラフ理論や統計理論に基づいて現実の世界に存在する様々なネットワークの解析が行われており, スモールワールド性や次数分布のべき則などに代表される普遍的な特性が見出されている. このネットワーク解析における研究課題のひとつに「コミュニティ検出」と呼ばれるものがある. コミュニティ検出問題とは,与えられたネットワークをいくつかの部分ネットワーク(コミュニティ)に分割する問題であり, 人間関係のネットワークにおけるグループの検出問題などが代表的である. これは対象とするネットワークをクラスタ化する問題と解釈することもできる.

本研究では,このコミュニティ検出問題に対して制御理論的なアプローチを試みている. より具体的には,ネットワークを構成するノードに対して状態変数を設定し,状態の入力信号に対する振る舞いの類似度という観点からノードの集合を分類(クラスタリング)することを考えている. 結果として,図に示されるように,ネットワーク内に含まれる「良く似たノード」が検出され,入力状態写像に関して本質的な寄与をもつエッジの集合が可視化される. さらに,構成されたクラスタに対して集約化された低次元の状態変数を与えることにより,クラスタ間のネットワーク構造を保存した低次元化(クラスタ低次元化)が実現される. 得られた集約モデルの各状態は,もとのネットワークシステムの各クラスタの平均値の振る舞いを近似する.

Clustered Model Reduction

  • Takayuki Ishizaki, Kenji Kashima, Jun-ichi Imura, Kazuyuki Aihara: Model Reduction and Clusterization of Large-Scale Bidirectional Networks, IEEE Transactions on Automatic Control, 59(1), pp.48-63, 2014. (DOI: 10.1109/TAC.2013.2275891) Preprint
  • Takayuki Ishizaki, Kenji Kashima, Antoine Girard, Jun-ichi Imura, Luonan Chen, Kazuyuki Aihara: Clustered Model Reduction of Positive Directed Networks, Automatica, 59, pp.238-247, 2015. (DOI: 10.1016/j.automatica.2015.06.027) Preprint
  • Takayuki Ishizaki, Aranya Chakrabortty, Jun-ichi Imura: Graph-Theoretic Analysis of Power Systems, Proceedings of the IEEE, 106(5), pp. 931-952, 2018. (DOI: 10.1109/JPROC.2018.2812298) Tokyo Tech Press Release JST Press Release   東工大/JST プレスリリース
システムの非負性や消散性を保存した低次元化

現実の世界には,物質の濃度や生物の個体数など,非負値の変数を内部状態にもつシステムが数多く存在する. このような特性をもつシステムは,線形システム論においてポジティブシステムと呼ばれ,その状態(および出力)の非負性は, システム行列の非負性として特徴づけられることが知られている. これにより,システムの非負性を保存する低次元化問題は, システム行列の非負性を保証しながらシステムの入出力写像を近似する問題として定式化される. 本研究では,このシステムの非負性の他にも, エネルギーの散逸を表す概念であるシステムの消散性に対して,その消散性を保存する低次元化問題を定式化し,解を与えている.

Structured Model Reduction

  • Takayuki Ishizaki, Kenji Kashima, Antoine Girard, Jun-ichi Imura, Luonan Chen, Kazuyuki Aihara: Clustered Model Reduction of Positive Directed Networks, Automatica, vol.59, pp.238-247, 2015. (DOI: 10.1016/j.automatica.2015.06.027) Preprint
  • Takayuki Ishizaki, Henrik Sandberg, Kenji Kashima, Jun-ichi Imura, Kazuyuki Aihara: Dissipativity-Preserving Model Reduction for Large-Scale Distributed Control Systems, IEEE Transactions on Automatic Control, vol.60, issue 4, pp.1023-1037, 2015. (DOI: 10.1109/TAC.2014.2370271 ) Preprint
コントローラやオブザーバの低次元化

近年,ロバスト制御に代表される系統的な制御系設計手法が確立され,様々な観点からその有効性が示されている. しかしながら,これらの発展的な制御系設計手法によって得られるコントローラや状態オブザーバは,対象とするシステムと同程度の次元となるため, 大規模なシステムに対する制御系の実装は,必ずしも容易ではない. このことから,制御系全体の性能を保証しながらコントローラやオブザーバを近似すること(コントローラやオブザーバの低次元化)は重要な課題である.

このコントローラやオブザーバの低次元化問題は,図に示される信号の受け渡しの構造を保存しながらコントローラやオブザーバを近似する問題として定式化されるため, システムの構造を保存する低次元化問題のひとつとして解釈される. このような特別な構造をもつシステムの近似問題は, 一般に難しい問題であることが知られているが,本研究では,上述したシステムの消散性を保存する低次元化手法を適切に用いることによって, このコントローラやオブザーバの低次元化問題にひとつの解を与えている. その他,クラスタ低次元化の応用として,大規模ネットワークシステムの平均的な振る舞いを近似的に推定するオブサーバの設計法の提案や,標準的な低次元化を応用した階層的な構造をもつ低次元オブザーバの設計法の提案などを行っている.

Structured Model Reduction

  • Takayuki Ishizaki, Henrik Sandberg, Kenji Kashima, Jun-ichi Imura, Kazuyuki Aihara: Dissipativity-Preserving Model Reduction for Large-Scale Distributed Control Systems, IEEE Transactions on Automatic Control, vol.60, issue 4, pp.1023-1037, 2015. (DOI: 10.1109/TAC.2014.2370271 ) Preprint
  • Tomonori Sadamoto, Takayuki Ishizaki, Jun-ichi Imura: Average State Observers for Large-Scale Network Systems. IEEE Transactions on Control of Network Systems, 4(4), pp.761-769, 2017. (DOI: 10.1109/TCNS.2016.2550866) Preprint
  • 小池雅和, 石崎孝幸, 定本知徳, 井村順一: 階層分散オブザーバの設計と電力ネットワークへの適用. システム制御情報学会論文誌, 27(9), pp.353-363, 2014. J-STAGE   ISCIE論文賞

その他

テニス

学生時代はテニスばかりしていました.

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